泌尿器の病気について
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尿路結石
尿路結石とは、尿路(腎臓、尿管、膀胱、尿道)に結石ができる病気です。尿中の成分が溶けきれず結晶化し、さらに成長して結石となります。カルシウムを主体とした結石が多いです。尿路結石の症状としては、背中から腰にかけて激痛が走り(右か左に寄っていることが多い)、血尿を伴うこともあります。特に尿管結石は痛みが強く、尿管には細くなっている部分があるため、小さな結石でも詰まりやすくなっています。痛みが軽減しても、長期間放置すると腎機能の低下につながる可能性があります。
結石の原因は、体質も考えられますが、食生活(不規則・高カロリー・過度な嗜好品の摂取)、肥満、骨粗鬆、長期臥床などが挙げられます。

治療
薬物で溶ける結石の成分もありますが限定的です。症状も軽く小さい結石であれば、排石を促す内服薬などで自然排石を待ちますが、痛みが強かったり大きな結石の場合は、体外衝撃波結石破砕術(ESWL)や経尿道的レーザー結石破砕術(TUL)など手術で結石を取り除きます。
尿路結石の予防
尿路結石の再発を予防するには、次のような方法があります。
- 水分の摂取
- 適度な運動
- 食生活の改善
- 生活習慣病(肥満など)の防止
特に多くみられる結石の成分はシュウ酸カルシウムです。そのため、シュウ酸を多く含む食品の摂取を減らすことが効果的です。シュウ酸を多く含む食品には、ほうれん草、紅茶、コーヒー、チョコレート、ココア、ピーナッツ、アーモンドなどがあります。カルシウムと一緒に摂ることでシュウ酸の吸収が抑えられるため、紅茶やコーヒーにはミルクを入れたり、ホウレン草のおひたしには鰹節を乗せたりすることがお勧めです。
尿路感染症
尿路(腎臓、尿管、膀胱、尿道)に細菌が感染し、炎症を起こすことを「尿路感染症」といいます。尿路感染症の多くは、尿道口から侵入した細菌が尿路をさかのぼって感染、炎症を起こす「上行性感染」によるものです。とくに女性は尿道が短いため、尿路感染症にかかりやすいといわれています。
主な尿路感染症には「腎盂腎炎」、「膀胱炎」、「尿道炎」などがあります。症状は、排尿時の違和感や痛み、残尿感、血尿、高熱などです。腎盂腎炎の場合、患側の腰背部痛を伴います。尿路感染症の診断は、尿検査と尿培養検査の結果に基づいて行われます。

治療
放置すると再発を繰り返し、治りにくくなることもあるため、早めの受診と適切な治療が必要です。細菌感染ですので、抗生剤治療が基本となります。軽症であれば外来的に内服抗生剤で治療しますが、高熱が続くようであれば入院して点滴治療が必要になります。
再燃することがあるので、解熱後もしばらく内服の抗生剤を継続します。腎盂腎炎を繰り返すと腎機能低下をきたす場合があるので、しっかりと治療が必要です。
腎盂腎炎
腎臓に細菌が入り込み炎症を起こし、背部痛・高熱をきたします。膀胱炎がこじれて腎盂炎を発症する場合が多いですが、排尿障害が原因の場合もあります。また尿管結石が原因の場合は「結石性腎盂腎炎」といって、重症感染症(敗血症)に至る可能性があります。その場合は、尿管ステントを留置し炎症を落ち着かせたうえで、尿管結石の治療も必要となります。
繰り返す膀胱炎
まず、尿の培養検査を行い膀胱炎の原因となっている細菌を調べます。繰り返す膀胱炎の場合、抗生物質が効きにくい細菌が検出されることがあります。細菌の種類が分かったら、その菌に対して効果のある適切な抗菌薬を処方します。また、症状を緩和するような薬や漢方薬を併用することもあります。膀胱炎を繰り返さないよう畜尿・排尿習慣の改善を図ります。 それでも再発を繰り返してしまう場合、膀胱炎を予防するようなワクチンの接種をお勧めしています(治験になります)。
腎がん
進行すると血尿・側腹部の痛み・腹部の膨隆などで見つかります。最近は、症状がなく、検診やX線CT・超音波検査等で発見される場合が多いです。この病気は放射線治療の効果が低く、基本的には手術で取り除く必要があります。小さい腫瘍であれば腎部分切除術、大きい腫瘍であれば腎摘出手術を行います。現在は手術支援用ロボットによる腹腔鏡下腎部分切除術(腎摘出術)が保険適応となっています。
一方、転移のある腎がんの場合は、分子標的薬という抗がん剤を内服したり、免疫チェックポイント阻害剤という治療薬を点滴します。
治療
- 手術支援用ロボットによる腹腔鏡下腎部分切除術(腎摘出術)
- 薬物治療(分子標的薬、免疫チェックポイント阻害剤)