尿路結石症調査
2015年、日本尿路結石症学会による全国調査が行われ、当院も参加いたしましたので結果をお知らせします。尚、同調査は2005年も行われており、その結果と合わせて掲載します。
- 調査期間:2015年1月1日~12月31日の1年間
- 調査対象:外来・救急診察に於いて「結石有」と診断された患者
集計の結果、「結石有」と診断された患者数は793名(2005年 403名)であった。
以下に性別・年代別、部位別、初発症・再発症、手術内容等を以下に掲載します。
性別・年代別
統計上、男女比は2.5:1と男性に多い疾患ですが、当院でも2.25:1と男性患者が多く受診されています。
年代別では、稀に小児でも罹患することがありますが、20代から徐々に増え、40~60代の中高年にピークを認めます。
部位別(上部尿路:腎~尿管 下部尿路:膀胱~尿道)
部位別では、上部尿路結石患者が最も多く、84.9%を占めます。
さらに年代別にみると、腎・尿管結石である上部尿路結石は50代にピークを認めますが、主に膀胱結石である下部尿路結石は排尿障害に関係することから60代以降の高齢者に多く認めます。
初発症・再発症
統計上、再発率約45%と言われており、当院でも初発56.2%、再発43.8%となりました。
2005年は初発63.7%と、初発患者が受診するケースが多い傾向にありましたが、現在は初発・再発問わず広く当院に受診するようになったと考えられます。
手術の有無(ESWL:体外衝撃波破砕術 TUL:経尿道的レーザー破砕術)
患者数の増加に伴い、手術件数も年々増加しています。
結石患者は激痛で受診される事が多いため、手術的治療を選択されることも多く、41.6%の方が砕石治療を受けています。
手術別では、上部尿路結石に対する砕石術として、現在は多くがESWL、TULを施行しています。
当初TULから始まり、容易に行えるESWLの普及に伴いその割合が増えていましたが、細径の内視鏡及び軟性尿管鏡の登場で、より安全・確実で砕石効果の高いTULが再び増加傾向にあります。
しかしながら、当院では無麻酔で気軽(容易)に施行できるESWLを選択する患者が多く、TULとの併用を含めると58.7%の患者が選択しています。
手術法の選択としては、X線で確認できるのかどうか、結石の部位、感染及び疼痛など、患者の状態を総合的に判断していますが、どちらも可能であれば、患者の希望に合わせ決定しています。