尿路結石と治療法(ESWL・TUL)について 症状をよく知り、早期発見・適切な治療を
腎臓から尿道までの尿の通り道に石ができる病気を「尿路結石症」といいます。
尿路結石症は石のある部位により「腎臓結石」「尿管結石」「膀胱結石」「尿道結石」などに分類されます。
尿路結石とは?
腎臓・尿管・膀胱・尿道などにある結石を「尿路結石」といいます。尿路結石は、尿成分から析出される結晶が、腎臓の内部表面に集まり生成されます。結石が小さい場合は尿路を通って、自然に体外に排出される場合があります。
尿管結石は再発が多いことで知られており、再発率は5年間で30~40%と報告されています。
日本人の尿路結石は食生活の欧米化とともに増えており、全国調査によると40年間で約3倍も増加しています。働き盛りの男性に多い尿路結石。男性の7人に1人(女性は15人に1人)が一生の間に1回は経験すると言われています。
尿路の結石
右尿管結石(CT画像)
右尿管結石(CT画像)
どのような症状が現れますか?
通常、尿管結石の初期症状は激痛を伴います。この痛みは、結石が尿路を通る時の刺激等により、突然起こります。特に、結石が下腹部や横腹部にある場合は、急激に鋭い痛みを感じます。また、結石が大きすぎて簡単に尿管を通らない場合、激痛が続きます。結石が膀胱に近づくと頻繁に尿意を感じたり、排尿時に激しい痛みを感じることがあります。
腎臓結石は無症状の場合も多く、血尿等で発見されることがあります。 無症状の結石を放置していると水腎症(腎孟の腫れ)による腎機能低下や細菌感染、排尿困難などの合併症を引き起こすこともあります。
尿路結石の治療方法は?
当院での治療方法
当院では上部尿路結石に対しては体外衝撃波腎尿管結石破砕術(ESWL)、大きな上部尿路結石やX線に映りにくい成分の結石(尿酸、シスチンなど)、骨盤に囲まれた部分の結石に対しては経尿道的尿管砕石術(TUL)を行っています
体外衝撃波腎尿管結石破砕術(ESWL)
上部尿路結石に対しては、体に傷をつけないという優れた利点を持つ、ESWL(体外衝撃波結石破砕術)を行っています。専用機器で発生させた衝撃波を体外から結石に当てて破砕する仕組みで、小さくなった破砕片は尿とともに排出されます。麻酔は使わず、座薬か注射の鎮痛薬を使用し、手術時間は約30分。体への負担が少なく、外来での日帰り治療も可能という利点もあり、当院では年間約200人の方を治療しています。約7割以上の方が1回の治療で砕石しています。
また、当院では平成24年10月に破砕専用機器をEDAP社製Sonolith i-moveに変更しました。破砕技術の進歩と相まって治療効果がかなり向上しております。
経尿道的尿路結石除去術(TUL)
体の外から衝撃波をあてて砕石するESWLに対し、TULは麻酔をかけた痛みを伴わない状態で尿道から「尿管鏡」という細い内視鏡を挿入、結石をモニター観察下でのレーザー砕石、または鉗子での摘出を行う治療法です。
ESWLは安全な治療法ですが、X線に映りにくい成分の結石や骨盤に囲まれた部分の結石は直接モニターで確認しながらのTULの方が確実に砕石、摘出が可能です。
近年、内視鏡やレーザーの進歩によるTULの安全性・確実性が向上しています。当院でも最新・高性能の軟性尿管鏡(OLYMPUS社製:URF-V)を導入したことで、安全かつ確実な治療が期待できます。