おしっこが出づらい・残尿感
以下のような病気が考えられます。
前立腺肥大
おしっこが出づらい、頻尿、残尿感などの症状がでます。
これは大きくなった前立腺が尿道を圧迫して尿の通り道が狭くなるためです。
時に尿路感染を合併し、発熱、尿閉(おしっこが出なくなる)、血尿をきたします。
検査
X線検査
治療
薬の治療を開始し、反応が悪い場合は内視鏡手術がお勧めです。
また、前立腺がんの合併もありえるので、血液検査(PSA:前立腺特異抗原)を行なう必要があります。
経尿道的内視鏡手術 : 尿道から内視鏡を挿入し、観察しながら肥大した前立腺を切除するもの。
※近年多種の治療(温熱・レーザー)が宣伝されていますが最も歴史が長い電気的切除が一番と考え
ています。膀胱と前立腺が一つの空間となりますので、尿道の抵抗が減り、排尿が楽になります。
前立腺炎
前立腺に炎症を起こし、慢性の場合、排尿痛・残尿感・下腹部の違和感などの症状がでます。急性の場合、細菌が原因で化膿し、高熱を伴います。時に尿が出なくなります。デスクワーク・運転など座位が多い仕事の方に慢性前立腺炎は多いようです。前立腺肥大・尿道狭窄などによる排尿障害も原因となります。
検査
検尿・前立腺の触診・排尿機能検査
治療
慢性の場合は薬の内服・急性化膿性の場合は入院し点滴治療等。前立腺肥大や尿道狭窄に対する手術
前立腺がん
早期の場合は症状がありませんが 進行すると尿閉・血尿・痛み(骨転移)・浮腫(リンパ節転移)・貧血(骨髄浸潤)・腎不全(水腎症)をきたし死亡にいたるがんです。
早期発見にはPSA(血液検査)が有効です。PSAが異常の場合、経直腸的超音波ガイド前立腺生検を行います。
がんが確定した場合、全身の広がりを調べます。
転移がなければ、前立腺摘出(平成天皇が受けた手術)・ホルモン治療・放射線治療を行います。年齢・体力・基礎疾患にて患者さんごとに治療が異なります。若くて転移がなく元気な患者さんには摘出手術をおすすめしています。
転移があれば、ホルモン治療を行います。ホルモン治療は男性ホルモンを下げる治療で、精巣の働きを抑える注射(または精巣を摘出)と内服薬で治療します。どの治療の場合でも効果判定はPSAで行います。
膀胱機能障害(神経因性膀胱等)
膀胱尿道を支配する脳・脊髄・末梢神経の異常による排尿・蓄尿障害です。
おしっこが出づらい・もれる・尿の感覚がない などの症状が単独または混合して出現します。
原因疾患として脳梗塞・頚椎症・脊柱管狭窄症・脊髄損傷・骨盤内手術(直腸がん・子宮がん)・パーキンソン病・多発性硬化症・成人T細胞性白血病等があげられます。
また精神科治療薬・モルヒネ・パーキンソン治療薬・風邪薬・坑アレルギー薬・帯状疱疹も排尿障害をきたす場合があります。適切な治療をしないと有熱性尿路感染・結石の発生・腎機能障害→腎不全をきたします。
検査
膀胱内圧検査・尿流量測定・X線CT・X線写真
治療
薬物治療・手術・カテーテルによるドレナージ(留置または間欠導尿)
尿道狭窄
尿道が細くなり、おしっこが出づらい症状がおきます。原因不明もありますが、外傷、 尿道炎、前立腺がんの浸潤によるもの。また、尿道カテーテルや内視鏡の挿入に起因することもあります。
おしっこが出づらいことで、残尿があると血尿や尿路感染を起こす場合があります。
前立腺肥大症の治療薬でも改善しません。
検査
X線造影(尿道に造影剤を注入して撮影)、内視鏡
治療
内視鏡治療を行ないます。高度の狭窄の場合は膀胱からもアプローチが必要です。