血尿

血尿には大きく分けて2種類あります。

肉眼的血尿(目で見える血尿)

尿路のがん(膀胱がん・腎盂尿管がん・前立腺がん・腎がん)、尿路結石、膀胱炎、前立腺炎などが主な原因ですが、原因不明、腎臓の血管の形や性質、薬剤性(抗凝固剤・抗血小板剤)のものもあります。また、下記の顕微鏡的血尿に比べ、病気がある可能性が高い。

肉眼的血尿(目で見える血尿)

日常の排尿では認識できず、検診(顕微鏡下)などで指摘されることが多いのが特徴です。 原因不明のことが多いが、基本的には上記の肉眼的血尿と同様です。

検査

尿検査・尿細胞診(尿中の癌細胞の有無)・X線写真・X線CT・膀胱鏡等
※顕微鏡的血尿は、蛋白尿が合併している場合は腎炎の可能性があり、血液検査も必要。

血尿には以下の病気が考えられます。

腎尿管結石

尿にはカルシウム(Ca)等、結晶化する成分が含まれ、腎臓内の尿の通り道に沈着したものが腎結石です。シュウ酸Ca結石が最も多く、その他、尿酸結石・シスチン結石などがあります。前者は通常のX線写真に写りますが、後二者は見えづらく、X線CT検査が有効です。また、結石が尿管に落ちると尿管結石となり、痛み・血尿・熱などの症状がでます。
結石によって尿の流れが閉塞すると尿路感染を生じ高熱がでます。悪化すると敗血症となり、稀に死に至ります。結石の原因は、体質も考えられますが、食生活(高カロリー・不規則・コーヒー紅茶の多飲)、肥満、高血圧、骨粗鬆、長期臥床などが挙げられます。

治療

治療は薬物治療の他、体外衝撃波砕石(体の外から機械を当てて結石を破壊:ESWL)または内視鏡的砕石(腰椎麻酔で内視鏡を尿管に挿入しレーザーで砕石:TULレーザー)を行います。

膀胱結石

排尿痛・残尿感・血尿などの症状があらわれる。
入院で膀胱カテーテルを長期留置している場合は詰り易く、排尿障害(前立腺肥大・尿道狭窄など)をおこします。

検査

X線CT・X線写真・膀胱鏡

治療

内視鏡的砕石 (同時に前立腺肥大症の治療も有効です)

尿道結石

膀胱内の結石が排尿時に流れて尿道に詰まった状態。尿が出づらい・痛み・血尿などの症状があらわれる。検査・治療は膀胱結石と同様です。

検査

X線CT・X線写真・膀胱鏡

治療

内視鏡的砕石 (同時に前立腺肥大症の治療も有効です)

腎がん

進行すると血尿・痛み・腹部腫脹・発熱で見つかります。症状がなく、X線CT・超音波検査等で発見される場合が多い。この病気が抗がん剤が無効で、転移があっても原発巣の摘出が有効です。術後、薬物治療をする場合があります。

検査

X線CT 超音波

治療

腎摘出 薬物治療(インターフェロン 分子標的薬剤)

腎盂・尿管がん

膀胱がん同様に尿の通り道にできるがんです。やはり喫煙と関連します。進行の仕方は膀胱がんに似ています。

検査

X線CT・尿管鏡(腰椎麻酔下)・細胞診

治療

腎尿管摘出等・抗がん剤点滴・内服

膀胱がん

多くは血尿で見つかります。進行すると排尿痛・血尿による尿閉・浮腫(リンパ節転移)・腎不全(水腎症)・貧血・全身の転移をきたし死に至る病気です。また喫煙者の割合が高い統計があります。

検査

X線CT・膀胱鏡・細胞診

治療

内視鏡治・薬物注入(抗がん剤・BCG)・開腹手術(膀胱を摘出)・抗がん剤点滴・内服
※病変が浅ければ内視鏡切除し、膀胱を温存します。深ければ膀胱を摘出。
  転移がある場合、抗がん剤の治療を始めます。

前立腺がん

早期の場合は症状がありませんが 進行すると尿閉・血尿・痛み(骨転移)・浮腫(リンパ節転移)・貧血(骨髄浸潤)・腎不全(水腎症)をきたし死亡にいたるがんです。
早期発見にはPSA(血液検査)が有効です。PSAが異常の場合、2泊3日で入院検査をします(腰椎麻酔 経直腸的超音波ガイド前立腺生検)。
がんが確定した場合、全身の広がりを調べます。

転移がなければ、前立腺摘出(平成天皇が受けた手術)・ホルモン治療・放射線治療。年齢・体力・基礎疾患にて患者さんごとに治療がことなります。若くて転移がなく元気な患者さんには摘出手術をおすすめしています。
転移があれば、ホルモン治療。ホルモン治療は男性ホルモンを下げる治療です。精巣の働きを抑える注射(または精巣を摘出)と内服薬で治療します。どの治療の場合でも効果判定はPSAで行います。